家族がそれぞれ故人を身近に偲びたいけれども、「位牌の準備方法が分からない」と悩んでいませんか?結論から言うと、位牌分けを活用すれば、家族それぞれが故人を身近に感じつつ、供養できます。
本記事では、位牌の種類や特徴、位牌分けの具体的な手順と注意点を詳しく解説します。また、位牌分けの後、手元供養を取り入れた新しい供養スタイルについてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
位牌とは?

位牌とは、故人の戒名や没年月日、俗名、享年が記された木製の札で、故人の霊を祀るために仏壇やお寺に安置されます。葬儀で使用する白木の位牌(野位牌)は四十九日までの仮位牌であり、忌明けまでに漆塗りの正式な位牌(本位牌)を用意する必要があります。
本位牌は仏壇に安置されるため、仏壇がない場合は購入が必要ですが、代わりに寺院の位牌壇に安置することも可能です。その際の位牌は寺位牌と呼ばれ、本位牌よりも大きい場合が一般的です。
また、戒名を位牌に彫刻するには約2週間かかるため、早めの準備が必要です。彫刻は手彫りと機械彫りがありますが、現在では品質が均一な機械彫りが主流です。
位牌の種類について
位牌には大きく分けて「板位牌」と「回出(繰り出し)位牌」の2種類があります。「板位牌」はさらに「塗り位牌」と「唐木位牌」に分類され、それぞれ特徴があります。
板位牌(塗り位牌)
板位牌の「塗り位牌」は、表面に漆を塗り、金箔や金粉、蒔絵などで装飾された位牌です。豪華な見た目が特徴で、高級感があることから人気があります。価格帯は、合成漆を使用したものが1万円前後、本漆を使ったものが3万円前後から購入可能です。
板位牌(唐木位牌)
黒檀や紫檀といった高級木材を使用して作られた位牌で、重厚感と耐久性に優れています。木目の美しさが魅力で、価格は2万円から5万円程度です。
回出(繰り出し)位牌
故人の戒名を記した札を10枚ほど収納できる箱型の位牌です。多くのご先祖をまとめて祀る際に使用されます。一般的に三十三回忌または五十回忌を過ぎた位牌は、この回出位牌にまとめられることが多いです。
位牌分けとは?

位牌分けとは、一人の故人のお位牌を複数(通常二柱以上)作成し、それぞれの家庭でお祀りするための方法を指します。この場合、同じ故人のお位牌を複数の家庭で持つことになります。
日本では、同一人物のお位牌を複数作成することにあまり馴染みがない場合もあるため、「位牌分け」という行為に疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし、位牌分けをすること自体に問題はありません。
位牌分けを行う際は、ご家族やご親族と相談したうえで、菩提寺にも相談すると安心です。なお、お位牌の単位は「柱(はしら)」と数え、一柱、二柱と表現します。
位牌分けをする理由
位牌分けをする理由としては、地域によって古くから位牌分けを行う習慣がある場合や、兄弟がそれぞれ離れて暮らしており、各家庭で供養を行いたいという希望がある場合が挙げられます。
また、長男以外の家族が自宅で位牌を祀りたいと考えるケースも挙げられます。このように、家族それぞれの事情や供養のスタイルに応じて位牌分けが選ばれることがあります。
位牌分けをする地域
位牌分けは、長野県や静岡県、山梨県といった中部地方や、群馬県を含む北関東の一部で伝統的に行われてきた風習です。
しかし、現代では家族や親戚が遠く離れて暮らすことが増えたため、地域に限らず故人を各家庭で供養したいという思いから位牌分けが広がっています。
位牌分けの習慣について
家族や親族の供養において重要な役割を果たす位牌ですが、その分け方やタイミング、宗派による違いといった習慣については意外と知られていません。
ここでは、嫁いだ女性や未婚者に関する位牌分けの習慣、宗派ごとの考え方、そして実際に位牌分けを行う際の注意点など、詳しく解説していきます。
嫁いでいる場合は位牌分けは行われない
嫁いでいる場合、基本的には位牌分けは行われないとされてきました。その理由として、嫁ぎ先と実家で宗派や菩提寺が異なる場合、供養に関するトラブルが生じる可能性があるためです。
ただし、どうしても気になる場合や特別な事情がある場合には、嫁ぎ先と菩提寺に相談することが望ましいとされています。
未婚の人は位牌分けができない
未婚者が位牌を受け取ることは難しいと考えられてきました。これは、供養の継承を考慮した習慣によるもので、基本的には既婚者が位牌を引き継ぐ役割を担うとされていたためです。
この考え方に基づき、位牌分けが行われる際も、既婚者が優先されるのが一般的です。
位牌分けに宗派は関係ない
位牌分けは、基本的に宗派による制約を受けません。真言宗や曹洞宗をはじめとする多くの宗派では、位牌分けに関する特別な決まりがないため、必要に応じて行うことが可能です。
ただし、浄土真宗では位牌を作る習慣がないため、位牌分けが行われることはありません。宗派ごとの習慣や考え方に応じた対応が求められます。
浄土真宗が位牌を作らない理由
浄土真宗では、亡くなった方の魂は阿弥陀如来の功徳によってすぐに成仏し、お浄土に導かれると考えられています。そのため、お位牌に魂を宿して日々の供養をする必要がなく、お位牌を作る習慣はありません。
代わりに、浄土真宗では「過去帳」と呼ばれる帳面を使います。この過去帳には故人の法名(仏様の世界での名前)や命日を記し、家系図のような意味合いでお仏壇に祀ります。
また、「法名軸」という掛軸に法名を記してお仏壇に安置することもあります。ただし、地域の習慣やお寺の方針によっては、例外的にお位牌を作る場合もあります。疑問がある場合や特別な事情がある場合には、菩提寺に相談するのが安心です。
位牌分けはいつやるべき?
位牌分けを行うには、事前の準備が必要です。事前に確認を行い、ご家族が自宅でお位牌をきちんと祀れるようにしておきましょう。位牌分けは、一般的に四十九日法要の際に行われます。ただし、必ずしもそのタイミングに限られるわけではなく、希望する時期に実施して問題ありません。
位牌分けを行う際には、お位牌を用意した後に開眼供養(かいげんくよう)を行う必要があります。開眼供養は、お位牌に魂を迎え入れるための重要な儀式です。位牌分けを計画する際は、この儀式のスケジュールも考慮する必要があります。
位牌分けのやり方と費用
ここでは、位牌分けの基本的な手順や準備すべきこと、費用の目安について詳しく解説します。誰が位牌を準備し、どのような手続きが必要なのかを明確にすることで、スムーズに進められるようになります。
1.位牌分けを希望する人数分の位牌を準備する
まずは、位牌分けを希望する人数分のお位牌を準備しましょう。この際、誰が注文するのか、どんなデザインにするのか、費用をどう負担するのかを家族で話し合って決めることが大切です。
それぞれの希望や状況に合わせて、お位牌のサイズやデザインを選ぶことができます。同じデザインにする必要はありません。お位牌の価格は1柱あたりおおよそ1万円~10万円程度で、名前や戒名を入れる文字加工費用は3千円~1万円ほどが一般的です。
材質や加工内容によって費用が異なるため、事前に見積もりを確認すると安心です。位牌の作成はお寺に依頼できる場合もありますが、一般的には仏壇仏具店にお願いするのが主流です。
お店では、サイズやデザイン、材質について相談できるため、初心者でも安心して準備を進めることができます。
2.開眼法要を行う
開眼法要(かいげんほうよう)とは、準備したお位牌に魂を迎え入れ、手を合わせる対象として供養の準備を整えるための重要な儀式です。この儀式は「魂入れ」や「性根入れ」とも呼ばれ、多くの場合、四十九日法要の際に白木位牌から本位牌へ切り替えるタイミングで行われます。
開眼法要を行う際は、事前に日程を調整し、位牌分けを希望する場合はその旨を僧侶に伝えておきましょう。僧侶からは、儀式の流れや位牌準備に関するアドバイスを受けられるため、スムーズに進められます。
この法要の費用は1万円から5万円程度が一般的です。ただし、位牌の数や法要の規模、四十九日と同時に行うかどうかによって費用が変動するので、事前に確認しておきましょう。
儀式は自宅、お寺、または葬儀を行った会館などで行うことができます。どの会場で実施するかも僧侶と相談しながら決めると良いでしょう。
3.自宅にお位牌を祀る
開眼法要が終わった後は、それぞれの自宅にお位牌を持ち帰りましょう。自宅では、お位牌を安置する場所を整え、大切に手を合わせて供養を続けます。
最近では、仏壇を設置するスペースが限られている家庭も増えています。そのため、ミニ仏壇や遺骨ペンダントを使った手元供養を選ぶケースも多くなっています。費用や自身の事情に合わせて、現代のライフスタイルに合った供養スタイルを選びましょう。
位牌の自由な飾り方も増えている!手元供養のおすすめグッズ
近年、位牌の飾り方は自由になりつつあり、伝統的な仏壇にこだわらず、自分のライフスタイルに合わせた供養が可能です。その中でも手元供養は特におすすめです。
ミニ仏壇を使うことで省スペースでも供養ができ、より故人を身近に感じられます。そこで今回は、手元供養に人気のおすすめグッズをご紹介します。
ミニ仏壇セット|やさしい時間・祈りの手箱|ナチュラル (チェリンセット)・ブーケ付(日本製)

「祈りの手箱」は、どんな住空間にも馴染むお洒落なミニ仏壇です。コンパクトながら、写真立てや花立て、ローソク、お線香など必要な仏具が揃っており、初めての手元供養でも安心して使うことができます。
届いたその日からすぐにご供養を始められるのも嬉しいポイントです。フタを閉じることでホコリを防ぐことができ、普段は仏壇と分からないデザインになっています。
江戸硝子の美しい仏具や、職人が仕上げたブナ材の優しい質感も魅力です。リビングや寝室にも自然に馴染み、故人を身近に感じながら手を合わせられます。
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ミニ仏壇セット|火を使わない小さな祈りのステージ・セット7|(名入れ)アクリルフォトスタンドセット

現代の住まいやライフスタイルに合わせ、安全に手元供養ができる「火を使わないミニ仏壇」が注目を集めています。「火を使わない小さな祈りのステージ」は、お線香を使わず、香りをお供えする新しい供養の形です。火を使わないため、子どもやペットがいる家庭や高齢の方でも安心して使用できます。
「献香」という言葉のとおり、お香の香りを通じて亡くなった方への想いを届けられ、どこにいても大切な人をそばに感じながら、心を落ち着けられます。良い香りには身を清める意味もあり、日々の供養をより心安らぐものにしてくれます。
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位牌が入るミニ仏壇|祈りの小箱・瑠璃 厨子タイプ大 (厨子と飾り台・ミニミニ仏具・チェリンのセット) (日本製・漆仕上げ)

「祈りの小箱・瑠璃」は、深みのある瑠璃色が目をひくシンプルで洗練されたデザインが特徴的なミニ仏壇。
大きすぎず圧迫感を与えないサイズ感ですので、仏間だけでなくリビングや寝室などにも置きやすく、心静かに手を合わせたいときにそっと寄り添ってくれます。落ち着きのある色合いは、和室・洋室を問わずさまざまなインテリアとも調和し、祈りの空間をすっきりと整えたい方にぴったりのアイテムです。
大切な想いをそっとしまい、心穏やかなひとときを過ごしたい方に、おすすめのミニ仏壇です。
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ミニ仏壇セット|アリーナ・ピュアホワイト|セットプラン1(仏具・パステル・チェリン)(日本製)

ミニ仏壇セット「アリーナ」は、一枚の金属から生み出された美しい曲線が特徴のモダンなお仏壇です。インテリアと調和しやすいスタイリッシュなデザインで、リビングや寝室にも違和感なく設置できます。
セットには、真鍮製のミニ骨壷「パステル」も含まれており、ネジ式でしっかり閉まるため安心して使用できます。また、付属のマグネット(4個)を使えば、大切な方の写真を直接「アリーナ」に飾ることができます。
シンプルながらも機能的なデザインで、故人を想う時間を特別なものにしてくれる手元供養セットです。
>ミニ仏壇セット|アリーナ・ピュアホワイト|セットプラン1(仏具・パステル・チェリン)(日本製)の購入はこちら
位牌分けで家族に合った供養の形を考えよう

位牌分けは、家族それぞれが故人を身近に供養でき、宗派や地域を問わず行えるのが特徴です。ただし、費用や手間がかかり、開眼法要などの手続きが必要なため、事前の計画と家族・菩提寺との相談が欠かせません。
また、位牌分け後も、ミニ仏壇や遺骨ペンダントなどを活用した手元供養を取り入れることで、現代のライフスタイルに合った方法で故人を偲ぶことができます。本記事を参考に、家族にとって最適な供養の形を検討してみてください。