手元供養のご相談の中でもっとも多いのが「分骨は良くないと聞いたのですが…?」という心配事。
分骨はデリケートな問題ですので、正しい知識を持っていないと、他の親族にもなかなか理解が得られないものです。
そこで今回は「分骨は良くないの?」そんな疑問の解決を含め、分骨についての知識や方法をまとめました。
分骨とは?
分骨とは、文字通りご遺骨の一部を取り分けることです。目的はさまざまですが、主に
- 遠方に離れて住む遺族がそれぞれに故人を供養するため
- 宗教上の習わしとして
- 離れがたい故人の身代わりとして手元供養をするため
などがあります。
分骨は良くないといわれる理由
分骨には然るべき目的があるにもかかわらず「良くない」といわれることが多々あります。そういった意見が聞かれる理由には、ある種の思い込みがあるようです。
- 分骨は違法だと思っている
- 分骨すると故人が成仏できない
- 宗教上縁起が悪い
- 分骨すると来世で五体満足にならない
ここからは、これらの誤解について詳しく解説していきます。
分骨は違法なの?
分骨を行う上で気になるのが、分骨が違法ではないのか?ということです。
結論から述べると、分骨は違法ではありません。きちんと手順を踏んでおけば、法律上まったく問題はないのです。
分骨は違法ではないと法律に明記されている
法律でも「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第5条にて、下記のように明記されています。
墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があつたときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない。
焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者は、墓地等の管理者に、前項に規定する書類を提出しなければならない。
引用元:墓地、埋葬等に関する法律施行規則
つまり、きちんと墓地の管理者に書類を提出して手順を踏めば、分骨はなんら問題はないということ。「分骨は良くない」というイメージから「分骨は違法」と誤解しているケースも多いようです。
分骨は古来から行われてきた習慣
なかには「分骨は良くないと昔から言われている」という意見もありますが、実は分骨そのものは古くから行われてきた習慣です。
尊い習慣とされる分骨
分骨は、何か良くないことや不吉なことなどではなく、むしろ“尊いこと”として古来から行われてきた習慣です。
例えば、仏教においてお寺などにお祀りされている”仏舎利”は、分骨したお釈迦様のお骨。キリスト教でも聖人の遺骨の一部が、”聖遺骨”として保管され、今に伝えられています。
いずれも、分骨によって世界の各地で人々の心の寄りどころとなった遺骨であり、祈りの対象として尊ばれているものです。
分骨は「良くない」というのは誤解
現在でも、本山に喉仏を分骨して納める習慣が残っている地域があります。また、西日本では遺骨をすべて拾うのではなく、部分的に骨壷に納めるのが一般的。お骨上げの時点で、すでに分骨されているといえるでしょう。
また、昨今では、故人の遺骨を自宅など身近において保管・供養する「手元供養」を選ぶ方が増えています。
手元供養をする際には、分骨が必要なケースがほとんど。分骨が「良くない」というのは誤解で、どちらかといえば必要なことも多いのです。
分骨に関する迷信
分骨に関してよくある誤解が「魂が分割されるので成仏できない」「あの世で五体満足になれない」などといったこと。しかし、それらはすべて何の根拠もない迷信なので、気に病む必要は何もありません。
このような迷信を気にされる背景には、遺骨に故人を重ねてしまう気持ちがあるからでしょう。
仏教の教えでは、故人の魂は四十九日を過ぎるとご遺骨から離れて成仏するという考え方があります。遺骨は故人が残していかれた“生きた証”であって、魂が留まっているわけではないのです。
もし魂が留まっていたら、むしろそちらのほうが「成仏できていない」という状況なのではないでしょうか。
故人は遺された人の幸せを願う
「分骨はよくないのではないか」と考えてしまうのは「分骨して手元に置きたい」という気持ちがあるから。つまりは、離れがたい故人への想いの現れでもあります。
故人は愛する家族だった人です。遺族が故人を想うように、故人も遺された人の幸せを願っているはずですから、分骨で家族に対して嫌な想いが起こるとはとても考えられません。
このように、さまざまな観点から考えてみても、分骨によって故人や遺族に何か良くないことが起こる根拠はまったくないことが分かります。安心して分骨し、気持ちが落ち着くまで手元に置くとよいでしょう。
分骨するタイミングは?
「分骨が良くない」というのは誤解であることが分かったところで、ここからは、分骨について詳しく解説していきます。
まずは、分骨をするタイミングについて。分骨が行われるのは、納骨前と納骨後の2つのケースがあります。
家族がそれぞれに身近なところで供養をしたいと考えているとき、手元供養を考えているときなどは、納骨前に分骨をします。
一般的には火葬の際に分骨をしますので、あらかじめミニ骨壷などの準備が必要です。
また、墓じまいや引っ越しなどでお墓を移動させたいとき、合祀を行う場合などは、納骨後に分骨を行うこともあります。
分骨を行う手順や手続き・費用
実際に分骨を進めるにあたり、納骨前・納骨後それぞれのタイミングでの分骨方法や流れ・費用についてご説明します。
1.納骨前に火葬場で分骨を行う
【手順】- 分骨する数の骨壷を用意する
- 火葬場に「火葬証明書(分骨用)」もしくは「分骨証明書」を発行してもらう
- 火葬場で用意した骨壷に遺骨を納める
- 分骨先の管理者に「火葬証明書(分骨用)」もしくは「分骨証明書」を提出する
火葬場で分骨を行う場合、まず分骨する数の骨壷を用意します。
次に、火葬場に「火葬証明書(分骨用)」もしくは「分骨証明書」を発行してもらいましょう。
注意したいのが、火葬するときに発行される「火葬許可証」とは違うということ。火葬場によっては、証明書が当日の発行になってしまうため、事前に火葬場に連絡を入れて確認しておくと安心です。
また、手続きが面倒な場合や難しい場合は、葬儀社に依頼することができるので、別途お願いしておきましょう。
火葬場では、用意した骨壷にそれぞれ遺骨を納め分骨します。分骨した遺骨をお墓へ納骨する場合、それぞれの分骨先の管理者に「火葬証明書(分骨用)」もしくは「分骨証明書」を提出しましょう。
分骨した遺骨を納骨せず手元供養する場合は「火葬証明書(分骨用)」は必要ありません。
【費用】
火葬場で分骨を行う場合、分骨証明書の発行手数料が費用として発生します。各自治体によって金額が異なりますが、一般的には300円程度が目安です。
またお墓に納骨する際に読経などを行う場合、お寺へのお布施が必要となります。
2.納骨後お墓や納骨堂に納められている遺骨を分骨する
【手順】- 遺骨の管理者に連絡をする
- 納骨されている墓地の管理者に「分骨証明書」を発行してもらう
- 遺骨を取り出す日程を決める
- 閉眼供養をして遺骨を取り出す
- 分骨先に「分骨証明書」を提出し納骨する
- 開眼供養を行う
お墓や納骨堂に納められている遺骨を分骨する場合は、まず遺骨の管理者(祭祀者・墓守)に連絡しましょう。あらかじめ相談をせず分骨をすると、親族間で思わぬトラブルに発展してしまいます。
事前にしっかり話し合い、了解を得ておくようにしましょう。
次に、納骨されている墓地の管理者に連絡をして「分骨証明書」を発行してもらいます。公営墓地の場合は自治会や管理事務所へ、民営墓地の場合は墓地の管理事務所に依頼。
また、寺院墓地の場合はお寺の住職へ連絡をして、証明となる書類を発行してもらいましょう。
分骨する遺骨を取り出す日程を、あらかじめ決めておくことも大切です。墓石を動かす必要がある場合は、石材店にお願いしないといけませんので、あわせて日程を調整しておきます。
閉眼供養(墓じまいをする際に魂を抜く供養)や開眼供養(新しいお墓に魂を入れる供養)については、このタイミングでお願いしておくとよいでしょう。
ご遺骨を取り出す当日は、まず閉眼供養を行い、石材店の方にお願いして遺骨を取り出してもらいます。分骨を行ったら、それぞれの分骨先に納骨してもらいましょう。
納骨の際は、「分骨証明書」を忘れず持参してください。その際に、開眼供養も行います。
【費用】
お墓や納骨堂に納められている遺骨を分骨する場合「分骨証明書」の手数料が発生します。一般的には100円程度が目安です。
開眼供養や閉眼供養の費用は1万?3万円が目安となります。また、墓石を動かす費用として2万〜3万円程度が発生します。
いずれも一般的な目安となるため、日程を調整する段階で事前に金額を確認しておくと、間違いがないでしょう。
分骨の注意点
分骨は違法ではないので、必要な手続きを取れば問題なく行えますが、そういった手続き以外にも留意しておきたいことが、親族の了承です。
分骨は良くないという考えは誤解ではあるものの、そう思っている方も多いのは事実。とてもデリケートな問題ですので、分骨を考えている際は、親族にしっかりと説明し了承を得ておくことがとても大切です。
また、仏教においてご遺骨の一部である「喉仏(のどぼとけ)」は、とても大切な意味があります。特に信教が仏教徒の場合は、喉仏の納め先についてもしっかりと納得のいく形で決めておきましょう。
時代とともに、故人を供養する形も多様化してきました。分骨して故人をより身近で見守ることが、残された人たちの心を癒すことにも繋がります。
正しい認識のもと、ともに納得のいく形で故人と寄り添うことも、立派な供養の在り方です。
分骨後の供養の方法
分骨後の供養方法にも、さまざまな形があります。ここでは、その代表的な方法についてご紹介します。
1.永代供養
永代供養(えいたいくよう)とは、寺院や霊園にお墓や納骨堂の管理・供養をお願いする方法です。
少子高齢化やライフスタイルの変化により、お墓を管理することができない・後継者がいないといったケースが増えてきました。
こうした悩みを抱える方に代わって、寺院や霊園がお墓や納骨堂を管理し、供養してくれる方法が永代供養です。
覚えておきたいのが「永代」といっても未来永劫供養してもらえる訳ではないということ。例えば、寺院や霊園がなくなってしまうことも考えられます。
また、一定期間が経過すると、個別に供養するのではなく、合葬・合祀(他の遺骨と一緒に埋葬されて供養)される点にも注意が必要です。
2.樹木葬
墓石の代わりに、シンボルツリー(樹木)の元で供養する方法が樹木葬です。
自然豊かな環境の中で、ゆっくりと眠りについて欲しいという想いを叶える形として、近年国内でも関心が高まっています。
樹木葬では、都道府県の許可された正式な墓地でないと、埋葬することができません。樹木があるところならどこでも良いという意味ではないので、注意しておきましょう。
3.海洋散骨
海に散骨して供養する方法が海洋散骨です。
生前から海が好きだった故人の想いをくんで、海洋散骨を選ぶ方も増えています。海洋散骨をする場合は、必ず遺骨を粉骨しておく必要があります。
また、自治体によっては散骨できるエリアを指定していることがあるため、供養する場合は事前に自治体へ確認をしておきましょう。
4.手元供養
手元供養とは、分骨した遺骨を手元に置いて供養する方法です。「墓地、埋葬等に関する法律」で、遺骨の埋葬場所は定められていますが、埋葬しない場合はどこで保管してもまったく問題はありません。
お墓に納骨せず手元で供養ができるため、故人をより身近に感じることができるのが手元供養の魅力。ライフスタイルに合わせた供養の仕方として、近年多くの方に選ばれている方法です。
ミニ仏壇やミニ骨壷を置いて自宅で供養をしたり、遺骨ペンダントとして常に身につけるなど、自由に選択が可能。なかには「宅墓」といって、自宅に小さなお墓を設ける方もいます。
手元に置きたい癒しの骨壷5選
故人の存在をより身近に感じられ、ご自身のライフスタイルに合わせた供養方法として、近年注目を集めている手元供養。
ご自宅のインテリアに合わせて選べるうえ、持ち運びもできるミニ骨壷は、初めて手元供養を行う方に、特にご提案したいアイテムです。
日常生活に溶け込む小さなミニ骨壷は、ただそこにあるだけで祈りと癒しの空間を演出してくれます。
離れがたい遺骨を分骨して手元に置くとき、故人のイメージやインテリアに合わせたミニ骨壷を選んでみてはいかがでしょうか。
愛らしいミニ骨壷「パステル」
むっくりとしたお地蔵さんのような形と、マカロンのようにきれいなパステルカラー。さらさらとした手触りも気持ちいい”パステル”は、かわいらしい見た目とは裏腹に、とてもしっかりとした作りの分骨用ミニ骨壷です。
真ちゅうの棒をくり抜くという高度な職人技で作られていて、フタはしっかりと閉まるネジ式を採用。錆びにくく、湿気や衝撃から大切なご遺骨を守ってくれます。
ご遺骨を納める内袋と骨壷を入れる外袋も付いているので、お寺での法要や、ご旅行などの持ち運びにもとても便利です。
小さな卵形の骨壷「たまごころ」
命が生まれる卵は、キリスト教では再生や復活のシンボルとされています。”また生まれ変わってきてほしい”そんな願いを形にしたのが、とても小さな骨壷「たまごころ」です。
特徴は、片手で包み込めるほどのかわいらしい大きさ。納骨スペースは、ペットボトルのキャップほどと小さいものの、小さなご遺骨の欠片をそのまま納められます。ネジ式の内ブタと外ブタの二重構造で、大切なご遺骨をしっかりと守る安心設計です。
上品な色合いと降り注ぐ光がイメージされたデザインで、カラーは3色から選択が可能。手のひらに包み込みその存在を感じながら、いつでも好きなときに語りかけ、祈りを捧げてください。
フォトスタンド型の骨壷「ピクチュアリスフィア」
つい両手で包み込みこんで、撫でたくなる丸い形。木のフタが優しさとナチュラルさを感じさせます。
本体は真ちゅう素材で、木のフタがぴったり入る設計。口が広いので、遺骨だけでなく小さな形見を入れるのにも最適です。
どうしても分骨に抵抗のある方は、形見を入れるのもよいでしょう。木のフタが湿気を調節し、遺骨などを守ってくれます。
フタには曲線の切れ込みがあり、写真を飾ることが可能。骨壷と写真立てが一体になったデザインなので、この骨壷一つで故人を偲ぶ祈りのスペースを作ることもできます。
伝統の技が詰まった上品な骨壷「宝珠シリーズ」
富山県高岡市は、400年続く仏壇・仏具の生産地。一本の真ちゅうをくり抜いて作る技術が、日本で唯一残っています。
その技を駆使して作られる宝珠シリーズは、落ち着きと気品を感じさせる骨壷。しっかりと閉まるネジ式のフタで、遺骨を湿気や衝撃から守ります。
仏の教えを表すともいわれる宝珠のモチーフは、遺骨を納めるのにふさわしいデザインといえるでしょう。分骨した後本山へ納骨したり、永代供養へ移すのにも適しています。
光沢と艶やかさが美しい濃い色目と、ふんわりとした印象の淡い色目がそれぞれ3種類。好みの色を選んで、自分らしい祈りの空間を作りましょう。
きらめくミニ骨壷「Hosta(ホスタ)シリーズ」
柔らかな色と香水瓶のような優美な形、5つのスワロフスキーが華やかに煌めく、とても小さな骨壷です。表面に施された梨地加工が、金属でありながら温かな印象を与えます。
片手で包み込めるサイズながら、存在感は十分。専用箱は、骨壷の置台にもなるおしゃれなデザインです。
小さいながら気密性のあるしっかりとした作りで、うっかりと倒してしまったり、地震などのアクシデントにも安心の設計。
錆びにくく、ずっと大切に持っていたい方にもぴったりです。真ちゅうの重みが、亡き人の存在を感じさせてくれることでしょう。
>ミニ骨壷「Hosta(ホスタ)シリーズ」の商品詳細はこちら
一人ひとりにあった手元供養を
「分骨が良くない」という考え方は、あくまでも誤解によるものではありますが、とらえ方はやはり人によってもさまざま。遺族間で意見が異なってしまうことも少なくありません。
手元供養などのために分骨を望む場合には、家族で十分に話し合い、納得してもらうことがとても大切です。
未来創想は、手元供養のアイテムをお届けしている専門店。商品の販売だけでなく、ご遺族お一人お一人の声に耳をかたむけて、分骨や手元供養などに関するご質問・ご相談も承っておりますので、いつでもお気軽にご利用ください。