お墓参りに行くことを「お線香をあげに行く」ということがあるように、お線香はお墓参りに欠かせないものとして知られています。
なぜ欠かせないのかは、お線香にどんな役割があるのかを知れば分かるでしょう。
ここでは、お線香の役割や意味と、上手な供え方についてまとめました。
お線香の役割やその意味
お線香には仏教においての役割に加え、スピリチュアルな意味合いもあります。早速それらを詳しく見てみましょう。
お線香の香りは神仏の食べ物
お墓参りでお線香を手向けるのには、故人や仏様へ食べ物を差し上げるという意味があります。
古代インドの仏教教典では、「死後の人間が食べるのは匂いだけで、善い行いをしてきた死者はよい香りを食べ、悪い行いをした死者は嫌なニオイしか食べられない…」との教えが。
お墓参りでよい香りのお線香を焚くことで、「ここに眠る人たちはよい香りを食べる善人ですから、極楽へお導きください」という、遺族の想いも反映しているのでしょう。
線香の広がる香りが表すもの
五感の中で、嗅覚は独特の働きをします。
目を閉じたり耳を塞いだりすれば遮られる視覚・聴覚、他人と分かちあえない味覚・触覚に対し、呼吸器を介する嗅覚は多くの人々と同時に香りを共有できます。
一カ所から四方八方へとあまねく広がるお線香の香りは、すべての人々が平等に感じられる香り。
目に見えないという特性も加わって、よい香りの中に仏の慈悲や神の愛を感じたのではないでしょうか。
仏様に故人への慈悲を願い、故人と共有できるのがお墓参りのお線香なのです。
線香の香りが場を清め、心を落ち着かせる
土葬の時代は、悪臭を消したり動物を寄せ付けないために、植物の香りが利用されました。
香りは見えなくても感じることができるので、不思議な力で場を清めてくれると考えられていたのでしょう。
お線香に使われる多くの香りが、鎮静作用を持つことも解明されています。
大事な人を亡くした悲しみを癒やすのも、お墓参りにお線香を手向ける大きな理由と言えるでしょう。
線香が燃えたときはスピリチュアルな意味が
お墓参りの際にお線香に火をつけると、激しく燃えることがあります。
このように風もないのに線香が激しく燃える現象を、人々は「故人がお参りを喜んでくれている」「無事に成仏できた」などの、故人からのメッセージとして受け止めることもあるようです。
まるで故人と語らうようなスピリチュアルな意味合いで、お墓参りにお線香を持参する方も多いのではないでしょうか。
お墓参りでの線香のあげ方
お墓参りの際は、すぐにお線香をあげるのではなく、まずはお墓の掃除やお水を替えるなど、場を清めるのがマナーです。
お線香をあげるときにも知っておくとよいポイントがいくつかありますので確認しておきましょう。
やってはいけないこと
お墓参りのときの作法で必ず覚えておきたいのは、“線香やロウソクの火を吹き消さない”ということです。
さまざまな命をいただく人間の口から出る息は汚れたものとされ、神聖なものにかかることはよくないと言われています。
人に息を吹きかけるのが失礼になるのと同じく、お墓に息をかけるのも不作法なのだと覚えておきましょう。
お線香に火をつけたら、自然に消えるのを待つか、お線香を振って消します。
お線香の束に火をつけて炎が上がっている場合は、ロウソクの火と同じく手で扇いで消しましょう。
お線香の本数
お墓参りのお線香は束でお供えするのが一般的ですが、一人ずつ必要本数をお供えするところもあり、その本数は宗派によっても異なります。
【宗派ごとのお線香の本数】
- 1本:曹洞宗・日蓮宗・臨済宗・禅宗
- 2本:浄土宗
- 3本:天台宗・真言宗
また、本数だけでなく、寝かせて供えるなどの作法がある宗派もあります。お線香は故人への供養ですからそこまで堅苦しく考えなくてもよいのですが、気になる場合はお寺などに確認するとよいでしょう。
お線香の向き
お線香を寝かせて供える作法を「寝線香」といいますが、その向きは、火が付いているほうを左に向けるのが一般的です。
ただし先に供えているお線香の向きが逆であれば、臨機応変にそれに合わせた向きで供えましょう。
お線香の火の付け方
基本的には、お墓参りの際にお供えしたものは、お花以外はすべて持ち帰るのがマナー。
お線香も、最後まで燃やしきることが大切です。
火のついたお線香が余った場合は危険が伴いますので、お墓の線香立てにお線香がどれくらい入るかを確認してから、本数を決めて火をつけましょう。
お線香の火の付け方は、ロウソクから火を移すのが正式な方法です。燭台が両サイドにある場合は、右側のロウソクから火を移しましょう。
ただし屋外ではロウソクの火が付きにくいこともありますので、そんなときはライターを使っても問題はありません。
少量の線香なら、ライターでも簡単に火が付くでしょう。
少なめのお線香の束にして火をつけておき、足りない分だけ墓前で火をつけるのも一つの方法です。
ライターを使うことに抵抗がある場合や、線香の本数が多い場合は、お線香用の着火器を使うとよいでしょう。
お線香立てや香炉灰の手入れについて
お墓のお線香立てには、縦置きタイプと横置きタイプがあります。
縦置きタイプはお線香の灰がそのまま落ちて散らばったり、雨風をしのげないものも多いことから、現在は横置きタイプが主流となっているようです。
横置きタイプのお線香立てのお手入れは、香皿にたまった灰を可燃物として処分します。
その際に、燃え残ったお線香がないか必ず確認しましょう。心配でしたら、水をかけるのもおすすめです。
灰を捨てたら水洗いをして、乾いた布で拭き上げましょう。
また、お線香立て以外にも、お墓に香炉を置いているケースもあるでしょう。
お手入れ方法は、まず灰の中に燃え残ったお線香がないかを確認して、あればピンセットや割りばし等で取り除きます。
あとは茶こしなどを使って灰をふるいましょう。
それでも灰が固かったりかたまりやすくなってきたときは、新しい香炉灰への交換時期です。
折れた線香の使い道は?
お線香についてのマナーとは少し話がそれますが、折れてしまったお線香や、燃え残ったお線香の使い道について考える方も多いかもしれません。
もちろん可燃物として処分することも可能ですが、もし気に入った香りのお線香であれば、お部屋やトイレなどで、短いお線香を小皿に集めて焚いたり、1本だけをほんの少しの時間焚いたりする方も多いようです。
家庭でお線香をあげるなら「ミニ仏壇」がおすすめ
神仏へ差し上げる食べ物としてはもちろん、さまざまな役割や意味を持つお線香。
お墓参りの際だけでなく、家庭でも日常的に供えたいと思う方も多いのではないでしょうか。
しかし住環境によっては、通常の仏壇を置けないケースもしばしば見受けられます。
そんなときにおすすめなのが、ミニ仏壇です。
ミニ仏壇は、少ないスペースでも設置できるだけでなく、現代風のデザインがお部屋になじみ、故人をより身近に感じていたいという想いにしっかり寄り添ってくれます。
ここでは、ミニ仏壇に仏具をお付けしたおすすめのセットを5つご紹介します。
やさしい時間 祈りの手箱|ブラウン(仏具セット)
天然木の柔らかな風合いが特徴的なミニ仏壇が「やさしい時間 祈りの手箱|ブラウン(仏具セット)」です。
「祈りの手箱」の素材にはブナ材を使用し、独特の製法を採用することで美しい曲線を表現。木の温かみをより一層引き立てる丁寧な仕上がりとなっています。
線香立てには東京の伝統工芸「江戸硝子」の製法を用い、うっすらと淡い色合いに。
セットに含まれるお線香「やさしい時間」は、森の香りとシャボンの香りの2種類から選ぶことができ、煙も少なく灰も少量に抑えられる点が、ご家庭でお線香をあげるのにぴったりです。
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祈りのステージ・アリーナ|アッシュグレー(仏具セット)
金属製のモダンな曲線が目を引くミニ仏壇です。
インテリアアイテムのようなおしゃれなデザインは、現代建築のお部屋にもなじみやすく、ライフスタイルに合わせた祈りの形を提供してくれます。
本体はフォトフレームになっており、故人の思い出の一枚を飾ることが可能。角の部分を丸い筒状にすることで花立てとしての役割を持たせているのも、おしゃれさを感じさせてくれるポイントです。
線香立ての素材には真鍮を採用しており、シルバーの見た目が本体との一体感を演出しています。
>祈りのステージ・アリーナ|アッシュグレー(仏具セット)の商品詳細はこちら
ミニ仏壇セット|ピクスタル(シルバーセット)
飾り台とフォトフレームが一体型になったミニ仏壇に、ミニ骨壷とおりんが付いたセットです。
シルバーの斑紋が神聖で上品な印象のフォトフレームは、L判の写真が2枚飾れるサイズ感。縦置きにも横置きにもできるので、自由なレイアウトが可能です。
球体型でモダンなデザインが魅力のミニ骨壷スフィアは、フタに切り込みが入り、こちらにもお写真を飾っていただけます。
思い出の写真をたくさん飾りたい方にぴったりのセット内容です。
コロンとかわいらしいフォルムのおりんは、ブラックとシルバー2色をご用意。
カラーによってわずかに音色が異なる点も、趣を感じさせてくれます。
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ミニ仏壇セット|火を使わない小さな祈りのステージ・セット8|(名入れ)アクリルフォトスタンドセット
木の風合いが温もりを感じさせてくれるボックスタイプの祈りのステージに、クリスタルの一輪挿し、ベル型のおりん、アクリルフォトスタンドが付いたミニ仏壇セットです。
祈りのステージは置き型としてだけでなく壁掛けにもできる仕様で、壁に掛けるとまた雰囲気が少し変わり、よりインテリア性が高まります。
特徴的なのが、オリジナルのアクリルフォトスタンドです。
お好きな写真を切り取って、躍動感のあるアクリルフォトスタンドに仕上げますので、個性あふれる祈りの空間をお作りいただけることでしょう。
>ミニ仏壇セット|火を使わない小さな祈りのステージ・セット8|(名入れ)アクリルフォトスタンドセットの商品詳細はこちら
ミニ仏壇セット|風セットプラン3(風、一文字、たまゆらりん、線香、ローソク)
日本の伝統工芸「漆塗り」の技術が生きた、高級感のあるミニ仏壇「風」に、仏具の三具足、おりん、お線香、ローソクが付いた充実のセットです。
届いたその日から供養を始めていただけるので、何をそろえてよいのか分からない方にもぴったりです。
漆塗りのお色は、日本の伝統色である漆黒・卯の花・茜・瑠璃の4色からお選びいただけます。
艶やかな仏壇とテイストをそろえた三具足で、和モダンな祈りの空間を実現。一方で明るめのカラーを選べば、洋風のお部屋にもなじんでくれるでしょう。
風が吹き抜けるような、開放感のあるデザインが魅力です。
>ミニ仏壇セット|風セットプラン3(風、一文字、たまゆらりん、線香、ローソク)の商品詳細はこちら
お墓参りだけでなく、家庭でもお線香を
お線香はよい香りだけでなく、さまざまな意味を持っています。
その意味を理解して拝んでみると、いつものお墓参りもまた違ったものになるでしょう。
ライフスタイルの変化により、頻繁なお墓参りや大きな仏壇での供養がしにくくなっている現代。
それでも故人を悼む気持ちや残された者の寂しい気持ちは、いつの時代も変わるものではありません。
よい香りのお線香を通し、日常的に故人と語り合う時間が持てれば心が安らぐものです。
未来創想は、ご遺族が心安らぐ手元供養をしていただけるよう、サポートさせていただいております。
いつでもお気軽にご相談くださいませ。