お墓参りは、故人やご先祖さまを偲び、感謝や近況を報告する大切な時間です。服装に厳密な規則があるわけではありませんが、訪れる場の性質や目的に合わせて選ぶことが大切です。特に、法事や節目のご報告などでは、参列者や周囲への配慮も必要になります。
今回は、普段のカジュアルなお参りから、法要を伴う厳粛な場、人生の節目に行う特別なお参りまで、シーン別にふさわしい服装を詳しくご紹介します。さらに、季節や天候、地域差、年齢層ごとのポイント、持ち物や所作に関する注意点も合わせて解説します。
日常のお墓参りの服装

普段のお墓参りでは、喪服を着る必要はありません。特に春や秋など、季節の折々に家族で訪れる場合は、落ち着いた色味の普段着で十分です。ただし、場の性質を考えて「節度」と「清潔感」を意識することが大切です。
- 色の選び方
黒・グレー・ネイビー・ブラウンなど、落ち着いた色が無難です。白や淡い色も問題ありませんが、派手な柄や原色は避けましょう。
- デザインの注意
大きなロゴやキャラクタープリント、迷彩柄、アニマル柄などは控えるのが望ましいです。
- 露出の配慮
ノースリーブ、ショートパンツ、ミニスカートなど、肌の露出が多い服は避けましょう。暑い時期でも、軽く羽織れるカーディガンや薄手のジャケットを用意すると安心です。
- 素材の注意点
革や毛皮は殺生を連想させるため避けるのが慣例です。
- アクセサリーにも配慮する
アクセサリーは、石に当たると傷ついたり逆に墓石を傷つけるので、長いネックレスや大ぶりの腕時計などは避けましょう。
掃除メインのお墓参りの服装
墓石や周囲の掃除を行う場合は、動きやすく汚れても良い服装が基本です。
じっくりと腰を据えてのお墓掃除は、2時間くらいかかります。その始まりから終わりまで水を使う上、濡れた石は滑りやすくなりますから、作業着に長靴でもよいくらいです。
- 服装例
墓地の周辺は木々が多く、枝や葉で怪我をする恐れや、虫刺されの心配もあります。夏場でも、薄手の長袖を一枚用意しておくと安心です。
- 靴
スニーカーや長靴など、滑りにくく安定感のある靴を選びましょう。
- 小物
帽子、軍手、虫除けスプレー。必要に応じてタオルも。掃除の間は帽子をかぶっても問題ありませんが、お参りのときには帽子を脱ぐことを忘れずに。
特別なお墓参りの服装
節目であるハレの日のお墓参りは、服装にしっかり配慮する必要があります。法事や初盆など、行事によってポイントにも違いがあるようです。
法事
法事に合わせてのお墓参りは、それぞれの法事にふさわしい服装が望ましいとされています。特に七回忌までは喪服か準喪服を着るのがマナーです。
- 男性
黒のスーツ、白シャツ、黒ネクタイです。白ワイシャツ以外は小物も黒でまとめます。
- 女性
黒のワンピースやスーツ、黒無地のストッキングです。小物は光沢のない黒でまとめ、アクセサリーはパールやオニキスの一連のネックレス程度にしたほうが無難です。
- 子ども
未就学児は黒や紺、グレーの服で肌着は白を選びましょう。小学生以上であれば、制服を着用しますが、制服がない場合は、未就学児と同様に派手な色物は避け、肌着も白を選びましょう。
地域によっては、法事の服装にも土地ならでは慣習があるようです。気になる場合は、事前に調べておくと安心です。
初盆・お彼岸・特別な法要のお参り
故人を偲ぶ気持ちを大切にする法要や季節行事のお墓参りでは、服装選びにも心配りが求められます。
特に初盆(新盆)や春・秋のお彼岸、年忌法要など、仏教行事としての意味が強い場面では、カジュアルすぎる服装は避け、準礼装や略式の喪服など、落ち着いた装いを意識するのがマナーです。
夏の初盆
夏場の初盆は猛暑になることも多く、通気性の良い素材の礼服や、夏用の略喪服(サマーフォーマル)を選ぶと快適に過ごせます。
男性であれば半袖のワイシャツに黒いスラックス、女性は涼しげなワンピースタイプの黒系フォーマルドレスが適しています。汗をかきやすい時期でもあるため、吸汗速乾素材やアイスインナーなどを活用し、清潔感を保ちましょう。
春・秋のお彼岸
春と秋のお彼岸は季節の変わり目で、寒暖差のある日が多いため羽織ものがあると安心です。
シンプルなジャケットやカーディガン、ストールを持参すると、気温に合わせて調整できます。色は黒・紺・グレーなど、落ち着いたトーンが望ましいでしょう。また、風が強い日や花粉の時期にも対応できる素材を選ぶと快適です。
節目の報告や人生の転機のお墓参り
進学、就職、結婚、出産など、人生の節目を迎えた際にお墓参りをして、故人に報告をする方も多くいらっしゃいます。こうした特別な場面では、日常のお墓参りよりもフォーマルな装いを意識し、感謝と敬意を服装で表すことが大切です。
和装の場合
格式を重んじるなら、振袖や訪問着、色無地などの和装が適しています。ただし、あまりに華美すぎる柄や明るすぎる色は避け、落ち着いた色合いと上品な雰囲気を意識するのがポイントです。足元は草履や白足袋を合わせ、全体に統一感を持たせましょう。
洋装の場合
洋装では、フォーマルスーツやシンプルなワンピーススタイルが好まれます。黒・紺・グレーなどの落ち着いたカラーを選ぶことで、お墓という神聖な場所にふさわしい装いとなります。スーツの場合は派手なアクセサリーや柄物は控え、ネイルやメイクもナチュラルに整えることが大切です。
季節・地域による違いに配慮する

お墓参りの服装マナーには、季節ごとの気候や地域特有の慣習も影響します。全国共通のルールというよりは、地域や寺院、家族の意向に応じて柔軟に対応する姿勢が重要です。
地域差に注意
たとえば西日本では、弔事の場でも比較的明るいグレー系の服装が許容される地域もあります。一方、東日本では黒を基調とした喪服が基本となる場合が多く、地域の文化や親族の意向を事前に確認しておくと安心です。
季節に応じた装い
夏のお墓参りでは、熱中症対策として通気性の良い素材や吸汗速乾インナーを活用しつつ、礼儀正しさを保つ工夫が求められます。
冬場はコートやマフラーで防寒をしつつ、明るすぎない落ち着いたカラーのアウターを選ぶことがマナーです。極端に派手な柄や、カジュアルすぎるパーカーなどは避けましょう。
注意したい服装
大きなタブーのないお墓参りの服装ですが、ちょっとした心配りも必要。とくに服装以外に身につけるアイテムには注意が必要です。
毛皮やファー
殺生を感じさせる毛皮や革ジャン、ファーやヒョウ柄などのアニマル柄は避けたい服装です。
仏教では、殺生を行うことを戒めるよう教えられています。部分的に使われているものも、できる限り避けるようにしましょう。
最近は毛皮やファーがバッグやアクセサリーにも多く使われていますから、お墓参りの前には全体を鏡の前でチェックすることをおすすめします。
帽子
暑さや寒さをしのぐために大切な帽子。特に夏の掃除を伴うお墓参りは、熱中症予防のためにも帽子は必須です。
ただし、墓前で手を合わせる前には脱ぐのがマナー。ジャケットのフードをかぶっているときも同様に、合掌する前には脱いでおきましょう。
最近では、海外で見かける喪服とセットになった帽子が人気を集めています。こうしたタイプでは、着用したままでもかまいません。
足元
玉砂利や石が敷いてある墓地は、思ったより足元が悪いもの。
雨上がりで石が濡れていると滑りやすくなる上、細いヒールが玉砂利に埋もれたりします。また、墓地は階段や段差も多いことから、お墓参りのときは、歩きやすく滑りにくい靴を選ぶようにしましょう。
晴れ着などにあわせて靴を履いている際は、お墓参り用に替えの靴を用意しておくと安心です。
また、お墓の掃除をする際は、動きやすく濡れてもよい靴を履いて行きましょう。
服装以外の身だしなみ・持ち物も大切
お墓参りでは、服装だけでなく、髪型やメイク、持ち物など、全体として清潔感のある身だしなみを整えることが大切です。
髪型・メイク
派手なヘアアレンジや濃すぎるメイクは避け、清楚で自然な印象を与えるスタイルを心がけましょう。長い髪はまとめる、ネイルは落ち着いた色にするなど、細かな部分も見直してみてください。
必須の持ち物リスト
お墓参りには、以下のような持ち物を準備しておくとスムーズです。
- 数珠(念珠)
- お線香・ライター
- お供え物(故人の好物や花)
- 掃除道具(ほうき・ゴミ袋・軍手など)
- タオルやウエットティッシュ
故人との思い出を大切に保管したい方には、お供えや形見を納められるミニ骨壷が最適です。ご自宅供養にも使えるため、日常の中で故人を想う時間を作ることができます。
お墓参りが難しい方にもおすすめの手元供養アイテム
節目の日や思い出の日にお墓参りをしたくても、お墓が遠方にあったり、スケジュール上の都合でなかなか難しいということもあるでしょう。
そういった場合に、ご自宅などご遺族の身近で供養する手元供養という方法もあります。大切な方をいつも身近に感じながら祈りを捧げられる、おすすめの手元供養アイテムをご紹介します。
ミニ骨壷|パールブレッシング|ホワイトS(真鍮製)
手のひらに収まる程よいサイズの真鍮製ミニ骨壷「パールブレッシング ホワイトS」。
職人がひとつひとつ手仕上げした、真珠のような優雅な光沢とクラシックモダンな佇まいが魅力です。ネジ式の蓋で気密性が高く、大切なご遺骨を湿気や衝撃からしっかり守ります。
悲しい気持ちをそっと支える存在として、和室にも洋室にも自然になじむ洗練されたデザインです。お手元で故人を想い、語りかける時間を穏やかに彩ります。
>ミニ骨壷|パールブレッシング|ホワイトS(真鍮製)の商品詳細はこちら
遺骨ペンダント | 月シリーズ・月2誕生石タイプ
丸みを帯びた月の形がかわいらしいこちらのペンダントは、月モチーフ内に遺骨を収めることができ、いつでも身につけていただける遺骨ペンダントです。
天然石をあしらったデザインで、文字入れもできますので、お好みに合わせてお作りいただけます。故人や身につける方の誕生石を用いたり、メッセージを刻印することで、より想いのこもったペンダントになるでしょう。
お骨を収めた後は、接着剤で蓋ネジを固定できるので安心です。生活防水にも対応していますので、つねに身につけて、故人を身近に感じながら過ごすことができます。
胸元で揺れるたびに故人の存在を感じ、身につける方の心を優しく癒してくれるでしょう。
>遺骨ペンダント「月シリーズ・月2誕生石タイプ」の商品詳細はこちら
やさしい時間・祈りの手箱・ミニ仏壇セット
木目のぬくもりが優しいこちらは、初めてお手元で供養をしたいと思われた方にも安心のお仏壇セットとなっております。
蓋を開くと、蓋部分がそのままステージになるシンプルでコンパクトなお仏壇です。蓋を閉めた状態にしておけば、ホコリが入らず、お手入れがしやすいという面も。
ナチュラルな木目を生かしたデザインでどんなお部屋にもしっくりとなじみます。
セットに含まれる花立てやろうそく立て、お線香立てはいずれもガラス製で、故人の写真や骨壷をそっと引き立ててくれるでしょう。
落ち着いた色合いのブラウンと、優しい明るさが魅力のナチュラルの2色をご用意しました。シンプルな仏壇セット「祈りの手箱」で、ご遺族のお好みに合わせた祈りのスペースをお作りください。
>「やさしい時間・祈りの手箱」ミニ仏壇セットの商品詳細はこちら
故人に向き合うのにふさわしい服装を

お墓に眠る故人との関係が、服装を決める大きなポイントになります。家族や親しい友人と、遠い親戚や上司のお墓参りではおのずと服装も変わってくるでしょう。
服装に厳しいマナーがなく気軽にできるはずのお墓参りですが、ご家族が集まりづらかったり遠方で参るのが難しい方もいるかと思います。そのようなときは、ご家庭で心が落ち着くように御供養なさってください。
手元供養の未来創想では、遺された人の思いを大切にする品をご案内しています。