告別式がすんだら出棺されて火葬場へ向かいます。いよいよ最後のお別れです。棺は同行したご遺族に見守られて釜に送り込まれ、1時間ほど後には骨上げの儀式となります。ここでは、足の方から頭に向かって拾う、喉仏の骨は喪主が拾う、といった決まりごとがあります。
これがすんだら、参列者は火葬場を後にして帰途につくわけですが、残された遺灰はどうなるのでしょうか?
「遺灰のその後」について
地方によって異なりますが、ほとんどの場合は、あらためて供養されたのちに供養塔に収められることになります。その供養塔も遺灰でいっぱいになると埋設されることが多いようです。当然のことながら、遺灰が一般ゴミや産業廃棄物として捨てられることはありません。「墓を持たない」という選択肢
さて、この遺灰ですが、現在ではその扱いも多様化して様々な供養の形となって表れています。以前、オーストラリアの地で亡くなったお父様を散骨されたご遺族の例をご紹介しましたように、お墓を持たないという風潮が広まっている中で、遺骨ペンダントや手元供養とともに、遺灰を散骨したいというご要望も増えてきています。洋画から読みとれる海外の供養形態
また、映画の話題になりますが、高倉健さんの「あなたへ」のような最近作ではなく、今回は20年以上前の「ファミリービジネス」というアメリカ映画のことです。ニューヨークで親子3代にわたって泥棒稼業にいそしむ犯罪一家のお話で、ショーン・コネリー(父親)×ダスティン・ホフマン(息子)×マシュー・ブロデリック(孫)といったキャストからも分かるとおり、どちらかというと犯罪よりは家族の血のつながりに重点を置いたドラマでした。この映画はビルの屋上に置かれた白い粉が風に乗って散っていくというシーンから始まります。説明もなく、「これは一体何だ?」という感じだったのですが、終盤で遺灰を散骨していたことが明らかになります。未見の方のためにも詳しい説明は控えますが、アイルランド人の家族の物語でもあったので、その国の風習なのかなとも思い、当時はえらく新鮮に思えたものでした。
日本で遺灰を撒く際は、許可を得てから
散骨は、今の日本で自由に行うことはできません(もしかしたら当時のアメリカでも違法だったかも知れませんが)。遺灰を撒くことは、自治体ごとに条例等で規制されていることが多く、場所によっては土地の所有者に許可を得ることも必要です。今や葬儀や供養は遺族が自由にでき、その形も様々になりましたが、遺灰の散骨についてはやはりそうはいきません。遺灰とはいえ「かつて生きていた人の体の一部」を撒くわけですから、あくまでも念入りに準備をしたいものです。